[st-mybox title="この記事でわかること" fontawesome="fa-check-circle" color="#f79256" bordercolor="#f79256" bgcolor="#fff8f5" borderwidth="2" borderradius="5" titleweight="bold"]
- つるぼけかどうかを「葉柄の長さ」で見分ける方法
- サツマイモに7月の追肥が不要な理由(前作の残り肥料にも注意)
- つるの節から出る「泥棒の根っこ」を断つつる返し
- 水をあげすぎない=かわいがるほど芋がつかない理由
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「葉っぱはジャングルみたいに茂っているのに、秋に掘ったら芋がヒョロヒョロだった」「隣の畑より立派に育っているように見えたのに、収穫は隣のほうが多かった」「つるばかりがグングン伸びて、どこまで広がるのか不安になってきた」——こんな経験はありませんか。
実はこれ、サツマイモ栽培で一番多い失敗、「つるぼけ」の典型的な症状なんです。つるぼけというのは、栄養が芋ではなく、つると葉っぱにばかり使われてしまう状態のこと。見た目は元気いっぱいなのに、土の中の芋はまったく太っていない。つまり「見せかけだけ立派で、中身がスカスカ」という、一番悔しいパターンです。
そして、ここが今日一番お伝えしたいところなんですが、つるぼけになるかどうかは、まさに今、7月の管理で決まります。芋が本格的に太り始めるのが7月から8月。この時期に原因を放置してしまうと、栄養はぜんぶ葉っぱに吸い取られて、秋にはもう取り返しがつきません。
[st-kaiwa2 r]うちのサツマイモ、つるぼけかどうか、どうやって見分けるんですか?[/st-kaiwa2 r]
[st-kaiwa1]チェックするのは「葉の柄の長さ」です。葉っぱと茎をつないでいる軸の部分がヒョロッと長く伸びて、葉が異常に大きい。そして、つるの先端が上にピンと立ち上がって勢いよく伸びている。この状態ならつるぼけが始まっているサインです。逆に、葉柄が短く締まって葉もほどほどのサイズなら、いい状態ですよ。[/st-kaiwa1]
つるぼけの原因は、この3つ

葉ばかり茂って芋ができない原因と対策は、この3つです。
[st-step step_no="1"]肥料のあげすぎ[/st-step] 良かれと思った追肥が、実は芋を消しています。
[st-step step_no="2"]つるから出る「泥棒の根っこ」[/st-step] 放置すると栄養が芋に届きません。
[st-step step_no="3"]水のあげすぎ[/st-step] サツマイモは、かわいがるほど芋がつかない野菜なんです。
面白いことに、対策は3つとも「やらないこと」「取り上げること」。手をかけるのではなく、あえて手を引く。他の夏野菜とは正反対の野菜なんです。
対策① 肥料をあげない。「良かれと思った追肥」が芋を消す

結論からお伝えすると、サツマイモに7月の追肥は基本的に不要です。それどころか、「他の野菜のついでに」とパラッと肥料をあげたその一回が、つるぼけの引き金になります。葉の色が薄いから、元気がなさそうだから、と追肥したくなっても、グッと我慢してください。
トマトもナスもキュウリも、夏野菜はみんな追肥が大事だと普段からお話ししていますが、サツマイモだけは別なんです。
理由1、サツマイモは栄養が多いと「太るのをやめて、伸びる」性質があるから。土の中に葉っぱを育てる成分である「窒素」がたっぷりあると、サツマイモはこう判断します。「こんなに恵まれた場所なら、芋に栄養を貯め込む必要はない。今のうちにつるを伸ばして陣地を広げよう」と。そもそも芋というのは、植物が厳しい環境を生き抜くための「貯金」。環境が豊かすぎると、貯金する理由がなくなってしまうんです。つるぼけの正体は、まさにこれです。

理由2、あなたが肥料をあげていなくても「前の野菜の残り」があるから。ここが盲点なんですが、「うちは肥料をあげてないのにつるぼけになった」という方が結構いらっしゃいます。その原因の多くは前作の残り肥料です。冬に葉物野菜や玉ねぎを育ててしっかり肥料を入れていた場所だと、その栄養が土にたっぷり残っています。サツマイモにとっては、植えられた時点ですでに「ごちそうだらけの土」だったわけです。エダマメなどのマメ科のあとも、マメ科は土に窒素を蓄えるので要注意です。
理由3、葉が茂りすぎること自体が、さらに芋を遠ざけるから。葉がジャングルのように茂ると、葉っぱ同士が重なり合ってお互いに日光を奪い合います。日が当たらない葉は、栄養を作るどころか消費するだけのお荷物に。芋を太らせるための工場であるはずの葉が、茂りすぎによって逆に足を引っ張る存在になってしまうんです。
やることはシンプルで、7月以降、窒素の入った肥料はあげない。化成肥料はもちろん、油かすや鶏ふんなども窒素を含むので控えます。それから来年のための知識として、サツマイモは「前作で肥料をたくさん使った場所を避けて植える」のが鉄則。痩せた土地でこそ本領を発揮する、めずらしい野菜だと覚えておいてください。
[st-mybox title="対策①まとめ" fontawesome="fa-leaf" color="#27ae60" bordercolor="#27ae60" bgcolor="#f5fff8" borderwidth="2" borderradius="5" titleweight="bold"]
- 7月以降の追肥は不要(化成肥料・油かす・鶏ふんも控える)
- 栄養が多いと芋という「貯金」をやめてつるに走る
- 前作の残り肥料にも注意(葉物・玉ねぎ・マメ科のあとは要警戒)
[/st-mybox]
対策② つるから出る「泥棒の根っこ」を断つ

7月のサツマイモは、伸びたつるの途中、節のところから新しい根っこを次々と土に下ろしていきます。この根っここそが、株元の芋に行くはずだった栄養を横取りする「泥棒」の正体です。定期的につるを持ち上げて、この根を土から引きはがす。いわゆる「つる返し」と呼ばれる作業です。
理由1、サツマイモのつるには「触れた土に根を下ろす」性質があるから。つるの節が土に触れると、そこから「不定根」と呼ばれる新しい根っこを出します。本体に何かあってもあちこちに根を張っておけば子孫を残せる、という野生の知恵。自然界では賢い戦略ですが、畑ではこれが完全に裏目に出ます。

理由2、根っこが増えるほど、株元の芋の取り分が減るから。私たちが収穫したい芋は、苗を植えた「株元」の土の中で太ります。葉っぱが作った栄養は本来この株元に送られて芋になりますが、つるの途中に根がいくつも下りていると、栄養が近くの根に分散してしまう。だから「泥棒の根っこ」なんです。しかも悪いことに、この泥棒の根からも小さな芋もどきができることがあるんですが、細くて食べられたものではありません。株元の芋も途中の芋もどっちも中途半端、誰も得をしない結末になります。
理由3、7月はこの泥棒が一番増える時期だから。7月はつるの伸びが最盛期で、地面を覆うほど広がっていきます。つるが広がるほど土に触れる節が増えて、泥棒の根はネズミ算式に増える。だからこそ、この作業は7月にやる意味があるんです。
[st-kaiwa2 r]つる返しって、どうやるのが正解ですか?[/st-kaiwa2 r]
[st-kaiwa1]伸びているつるを、株元のほうから順番に、片手でそっと持ち上げてください。節から根が下りていれば、プチプチッと土から抜ける感触があります。それが泥棒の根がはがれた音です。持ち上げたつるは裏返さずに、そのまま元の場所にふわっと戻して置くだけで大丈夫ですよ。[/st-kaiwa1]
注意点が2つ。1つ目、つるは意外と折れやすいのでゆっくり優しく。雑に扱って葉やつるを傷めると、栄養を作る工場を壊すことになって本末転倒です。2つ目、頻度はやりすぎないこと。2〜3週間に1回程度で十分で、毎週のようにやると株への負担が大きくなります。
つる返しのやり方は「【サツマイモ】つるぼけで芋が太らない原因はコレ!太らせる3つの作業」でさらに詳しく解説していますので、あわせてご覧いただくとより確実にできると思います。
[st-mybox title="対策②まとめ" fontawesome="fa-leaf" color="#27ae60" bordercolor="#27ae60" bgcolor="#f5fff8" borderwidth="2" borderradius="5" titleweight="bold"]
- つるの節から出る不定根は株元の芋の栄養を横取りする泥棒
- 2〜3週間に1回、つるを優しく持ち上げて根をはがす
- 裏返さずそのまま元の場所へ・やりすぎは株の負担に
[/st-mybox]
つる返し作業に使いやすい園芸手袋
つる返しは手で優しく持ち上げる作業。滑り止め付きの背抜き手袋があると、つるを傷めずにしっかりつかめて作業がラクになります。
対策③ 水をあげすぎない。かわいがるほど芋がつかない

結論からお伝えします。7月のサツマイモに、基本的に水やりは不要です。毎日せっせと水をあげている方は、今日からやめてください。他の夏野菜と同じ感覚で水をあげることが、つるぼけの隠れた原因になっています。
[st-kaiwa2 r]この真夏に水をあげないなんて、枯れちゃいませんか?[/st-kaiwa2 r]
[st-kaiwa1]大丈夫です。サツマイモのふるさとは中南米の乾燥した地域。日本でも、雨の少ない痩せた土地の救荒作物、つまり「他の作物が育たない厳しい土地でも育つ、飢饉のときの命綱」として広まった歴史があります。根っこは水を求めて土の奥深くまで伸びていくので、多少の日照りではびくともしませんよ。[/st-kaiwa1]
理由は肥料の話とまったく同じ理屈です。芋は、厳しい環境に備えるための貯金でしたよね。水がいつでもたっぷりある環境だと、サツマイモは「備える必要がない」と判断して芋づくりの手を抜きます。そして余った元気でつると葉をどんどん茂らせる。つまり水のあげすぎも、肥料と同じようにつるぼけへ一直線なんです。
「ちょっと厳しいかな」くらいの環境に置かれて初めて、サツマイモは「今のうちに貯め込まなきゃ」と芋に栄養をせっせと蓄え始めます。突き放すことが、サツマイモにとっての愛情なんです。

それから、過湿はつるぼけだけでなく病気や腐れの原因にもなります。水はけの悪い畑で土がジメジメし続けると、土の中の芋が傷んだり形の悪い芋になったり。サツマイモを高い畝(高畝)で育てるのは、この水はけを良くするためなんです。もし今年、畝が低くて雨のあとに水が溜まりがちだと感じているなら、来年は畝を30センチほどの高さにしっかり立てることをおすすめします。
基本は「水やりは天気に任せる」。露地栽培なら夏の自然な雨だけで十分です。ただし例外もお伝えしておくと、雨が2〜3週間も降らない記録的な日照りが続いて、日が沈んでも葉っぱがしおれたまま戻らない。そこまでいったら、さすがに一度たっぷりあげてください。あくまで「あげすぎがダメ」なのであって「絶対にあげるな」ではありません。なお、袋栽培やプランターは土の量が少なく乾きやすいので、露地よりは水やりが必要になります。その場合も、土が中までしっかり乾いてからあげるメリハリを忘れずに。
[st-mybox title="対策③まとめ" fontawesome="fa-leaf" color="#27ae60" bordercolor="#27ae60" bgcolor="#f5fff8" borderwidth="2" borderradius="5" titleweight="bold"]
- 水やりは天気任せが基本(露地なら自然の雨で十分)
- あげるのは長い日照りで夕方も葉が戻らないときだけ
- 過湿は病気・腐れの原因。来年は30cmの高畝に
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来年の高畝づくりに
水はけを良くする高畝は、サツマイモ栽培の土台です。畝立てから土寄せまで一本でこなせる家庭菜園向けの鍬があると、来年の準備がぐっとラクになります。
まとめ

それでは今日のおさらいです。サツマイモの葉ばかり茂って芋ができない「つるぼけ」の3つの対策はこちらでした。
[st-step step_no="1"]肥料をあげない[/st-step] 栄養が多いとサツマイモは芋という貯金をやめて、つるに走ります。7月以降の追肥は我慢。前作の残り肥料にも注意です。
[st-step step_no="2"]泥棒の根っこを断つ[/st-step] つるの節から下りる根は、株元の芋の栄養を横取りします。2〜3週間に1回、つるを優しく持ち上げて根をプチプチとはがしてください。
[st-step step_no="3"]水をあげすぎない[/st-step] サツマイモは厳しい環境でこそ芋を太らせる野菜です。水やりは天気任せ。かわいがるほど芋がつかない、と覚えてください。
こうして並べてみると、面白いことに気づきませんか。サツマイモの対策は、3つとも「やらないこと」「取り上げること」なんです。肥料をやらない、余計な根を取る、水をやらない。手をかけるのではなく、あえて手を引く。他の夏野菜とは正反対の、ちょっと不思議で、だからこそ奥が深い野菜です。
葉っぱが元気に茂っているとつい安心してしまいますが、本当の勝負は土の中。7月のこのひと手間で、秋の焼き芋の太さが決まります。ぜひ今週、畑のサツマイモのつるを持ち上げてみてくださいね。
[st-mybox title="今回の作業に使うもの" fontawesome="fa-shopping-cart" color="#f79256" bordercolor="#f79256" bgcolor="#fff8f5" borderwidth="2" borderradius="5" titleweight="bold"] 記事の中でご紹介した資材です。お手元にないものがあれば、こちらから確認できます。 [/st-mybox]
