[st-mybox title="この記事でわかること" fontawesome="fa-check-circle" color="#f79256" bordercolor="#f79256" bgcolor="#fff8f5" borderwidth="2" borderradius="5" titleweight="bold"]
- 落花生の花が咲いた瞬間から「本当の勝負」が始まる理由
- 開花から10日以内にやる「マルチ外し・除草・中耕・土寄せ」の正しい手順
- 石灰(カルシウム)を効かせ、窒素肥料は控えると莢が詰まるワケ
- 7〜8月に水を切らさず、葉と莢を守り抜く収穫までの管理
[/st-mybox]

「畑やプランターの落花生に、小さな黄色い花がぽつぽつ咲き始めた」——そんな方、いらっしゃるのではないでしょうか。あの花を見て「おっ、咲いたな」で終わらせてしまう方が、実はとても多いんです。
ですが、はっきり言います。あの黄色い花が咲いた瞬間から、落花生づくりの本当の勝負が始まっています。落花生の花が咲いたら、それは「そろそろ土の中に実をつける準備を始めてください」という株からのサインです。
このサインを受け取った私たちがやるべきことは、大きく分けて3つ。①株元の土をやわらかくして土を寄せる、②カルシウムを効かせて窒素肥料は控える、③水を切らさず葉と莢を最後まで守り抜く。この3つをやるかやらないかで、秋の収穫量が本当に変わります。何もせず放置すると、葉っぱだけが立派に茂って、10月に掘り上げたら莢がスカスカ……という悲しい結果になることも珍しくありません。
[st-kaiwa2 r]落花生は初めてなんですが、花が咲いたら人工授粉とか必要ですか?[/st-kaiwa2 r]
[st-kaiwa1]それは大丈夫です。落花生は自分の花粉で受粉する「自家受粉」なので、キュウリやカボチャのような人工授粉はいりません。安心してください。問題はそのあと。受粉が終わってから何をしてあげるかで、実の入り方が決まるんですよ。[/st-kaiwa1]
私が住む千葉県は、ご存じのとおり落花生の日本一の産地です。近所の農家さんを見ていても、花が咲いた時期の畑での動き方がやっぱり違うんですよね。今日はその中身を、理由も含めてひとつずつ解説していきます。
そもそも、花が咲いたあと落花生に何が起きるのか

3つの作業に入る前に、どうしてもお伝えしておきたい話があります。ここが分かっていないと、これからの作業がただの丸暗記になってしまうんです。
「落花生」という名前、漢字で書くと「落ちる花が生まれる」。この名前が、落花生の育ち方をそのまま表しています。受粉が終わると、花のつけ根から細い針のような棒がニョキッと伸びてきます。これを「子房柄(しぼうへい)」、英語では杭に似ていることから「ペグ」とも呼びます。この子房柄が、上ではなく下に向かって、真っ直ぐ地面を目指して伸びていくんです。
そして地面に到達すると、そのまま土の中へ3〜5センチほど突き刺さります。土に潜り込んだ先端が横向きになって膨らみ、そこがあの落花生の莢になる。つまり落花生は、地上で咲いた花が自分の足で土の中まで歩いていって、そこで実を作る野菜なんです。
[st-kaiwa2 r]じゃあ、咲いた花は全部実になるんですか?[/st-kaiwa2 r]
[st-kaiwa1]いいえ、実際に莢になるのは咲いた花の2〜3割ほどです。株の上のほうや地面から離れた場所で咲いた花は、子房柄が土に届かず力尽きてしまいます。だからこそ、子房柄が気持ちよく土に潜れる環境を作ってあげることが落花生栽培の核心なんですよ。[/st-kaiwa1]
大事なのは2つ。ひとつ、子房柄が土に届かなければ実は絶対にできない。ふたつ、子房柄は針のようでいてとても繊細で、土がカチカチだったり雑草だらけだったりマルチが張られたままだと刺さらずに諦めてしまう。花が咲いてから子房柄が伸び始めるまでは、およそ1週間から10日。この10日間が、私たちに与えられた作業時間だと思ってください。
落花生の花が咲いたらやるべき「3つの作業」

花が咲いた落花生にやるべき作業は、この3つです。
[st-step step_no="1"]マルチを外して、除草・中耕・土寄せ[/st-step] 子房柄が土に潜れる、やわらかい「実のなるエリア」を作ります。3つの中で最優先です。
[st-step step_no="2"]カルシウムを効かせ、窒素肥料は控える[/st-step] 莢は土の中のカルシウムを直接吸って膨らみます。窒素が多いと葉ばかり茂ります。
[st-step step_no="3"]水を切らさず、葉と莢を守り抜く[/st-step] 7〜8月に土を乾かさず、病気・害虫・カラスから株を最後まで守ります。
面白いことに、この3つはどれも特別な道具がいりません。クワと、石灰ひと袋と、ちょっとの手間だけ。それだけで、秋に掘り上げたときの莢の数と、殻を割ったときの中身の詰まり方が、はっきり変わります。ひとつずつ見ていきましょう。
作業① 開花から10日以内に「マルチ外し・除草・中耕・土寄せ」

結論からお伝えします。花が咲いたら10日以内に、マルチを外して、雑草を抜いて、株元の土を軽くほぐし、株のまわりにふんわり土を寄せてください。もし他の2つができなくても、これだけはやってください。それくらい効果に差が出ます。
理由は、さきほどの子房柄の話にそのまま繋がります。子房柄は土に刺さって初めて実になる。ということは、株のまわりの土がやわらかいほど、そして土のある範囲が広いほど、実がつく場所が増えるということ。じゃがいもの土寄せは緑化防止、ネギの土寄せは白い部分を伸ばすため。でも落花生の土寄せは、収穫量そのものを直接増やすための作業なんです。ここが他の野菜と決定的に違います。
黒マルチは春先の地温を上げるのに有効ですが、花が咲いたら落花生にとって完全な壁になります。子房柄がビニールの上を滑って、どこにも刺さらず終わってしまう。「葉は立派なのに実がつかなかった」という失敗、かなりの割合がこのマルチの外し忘れです。

手順はシンプルです。①マルチを全部きれいに剥がす(中途半端に残すと結局そこに子房柄がぶつかります)。②株のまわりの雑草を根元から手で抜く(子房柄が伸びたあとでは、雑草を抜くと子房柄も一緒に抜けてしまいます)。③中耕=クワや移植ゴテで表面を深さ3センチほどザッとほぐす(深く掘ると根を傷めるので表面だけ)。④土寄せ=通路の土を株元へふんわり高さ3〜5センチ寄せる。
[st-kaiwa2 r]土寄せしたあと、しっかり押さえて固めたほうがいいですか?[/st-kaiwa2 r]
[st-kaiwa1]いいえ、そこが落花生の一番の注意点です。寄せた土は絶対に叩いて固めないでください。他の野菜のクセでつい押さえたくなりますが、落花生では逆効果。子房柄が刺さらなくなります。パン粉をまぶすように、ふんわり、やわらかく乗せるのがコツですよ。[/st-kaiwa1]
プランターの方も考え方は同じ。通路の土がないので、あらかじめ土を8分目にしておき、この時期に新しい培養土を2〜3センチそっと足します。作業は、雨上がり直後を避けて晴れが2日ほど続いた午前中がベスト。そして必ず開花から10日以内に。すでに子房柄が伸び始めている株は、折らないよう周辺だけそっと土を足してください。折れた子房柄は二度と実になりません。
[st-mybox title="作業①まとめ" fontawesome="fa-leaf" color="#27ae60" bordercolor="#27ae60" bgcolor="#f5fff8" borderwidth="2" borderradius="5" titleweight="bold"]
- 開花10日以内に「マルチ外し→除草→中耕→土寄せ」を一気に
- 土寄せは高さ3〜5cm・ふんわり。叩いて固めるのは絶対NG
- 伸び始めた子房柄は折らないよう周辺だけそっと土を足す
[/st-mybox]
作業② カルシウムを効かせて、窒素肥料は控える

花が咲いたら、株元に石灰(カルシウム)をひと握り撒いてください。そして窒素の多い普通の化成肥料は、あげないでください。「肥料をあげるな」と言われると不安になりますが、落花生に関してはこれが正解です。
なぜ窒素を控えるのか。落花生はマメ科で、根に「根粒菌(こんりゅうきん)」という菌が住みつき、空気中の窒素を取り込んで植物が使える形に変えてくれます。つまり落花生は自分で肥料を作りながら育つ野菜。そこへさらに窒素をあげると、栄養が余って葉と茎ばかりが茂る「つるボケ」になります。見た目は青々と立派なのに、掘ってみると実が入っていない。「今年は豊作だ」と思った株ほど怪しい、というのは落花生ではよくある話です。

では、なぜカルシウムなのか。ここが落花生の面白いところ。普通の野菜は根から養分を吸いますが、落花生の莢は土の中で膨らむとき、莢の表面から直接カルシウムを吸収するんです。だから莢ができる株元の浅い層にカルシウムがないと、莢の形はできても中身が入らない。殻を割ったら空っぽ、いわゆる「空莢(からさや)」「しいな」です。「莢はたくさんついていたのに中身がなかった」という失敗、実はこれが原因のことが非常に多いんです。
使うのは石灰です。一番のおすすめは効き方がゆるやかで根を傷めにくい「有機石灰(カキ殻石灰・貝化石)」。次点がカルシウムとリン酸を同時に補える「過リン酸石灰」。苦土石灰や消石灰は効きが強く土のpHを一気に変えるので、使うならごく少量に。迷ったら有機石灰と覚えておけば間違いありません。量は1株あたりひと握り(30〜50g)、株を囲むように半径20〜30センチの範囲にぐるっと撒き、作業①の土寄せと一緒に軽く混ぜ込みます。
[st-kaiwa2 r]どうしても株の元気がないときは、追肥してもいいんですか?[/st-kaiwa2 r]
[st-kaiwa1]葉の色が薄く黄色っぽくて明らかに元気がないときだけ、窒素の少ない(N-P-Kの最初の数字が小さい)肥料をほんの少しならOKです。落花生の追肥は「足りないくらいがちょうどいい」。石灰は開花期に1回でOKですが、莢が膨らむ8月にもう1回撒くと、さらに実が充実しますよ。[/st-kaiwa1]
家庭菜園で手に入れやすいのは苦土石灰ですが、上でお伝えしたとおり効きが強いので、落花生には少量ずつ。カルシウム補給の一袋として、こういった石灰を常備しておくと安心です。
[st-mybox title="作業②まとめ" fontawesome="fa-leaf" color="#27ae60" bordercolor="#27ae60" bgcolor="#f5fff8" borderwidth="2" borderradius="5" titleweight="bold"]
- 窒素肥料は控える(あげすぎるとつるボケ=葉ばかりで実が入らない)
- 莢は土のカルシウムを直接吸う。石灰を株元半径20〜30cmにひと握り
- 迷ったら有機石灰。苦土石灰・消石灰は少量に。8月にもう1回で充実
[/st-mybox]
作業③ 水を切らさず、葉と莢を最後まで守り抜く

土寄せと石灰で「実がなる準備」を整えたら、あとはその実を太らせて収穫日まで運びます。花が咲いてから収穫までのおよそ90日間、特に7〜8月は土をカラカラに乾かさないでください。そして葉の病気、地上・地下の害虫、さらにカラスから株を守り抜きます。
落花生は乾燥に強いと言われますが、それは「株が枯れにくい」という意味であって「乾燥しても実が入る」ではありません。落花生が水を一番必要とするのは、今まさに花が咲いてから莢が膨らむまでの時期。土が乾くと、子房柄が刺さりにくくなるうえ、カルシウムは水に溶けた状態でしか吸収できないので、せっかく撒いた石灰も莢が取り込めません。つまり水やりは「作業②を効かせるための作業」でもあるんです。
畑は基本的に雨まかせでOK。ただし1週間雨がなく、株元を指で5センチ掘っても湿り気がまったくないときは、朝か夕方に株元へたっぷりしみ込ませます。真昼はお湯になって根を傷めるのでNG。乾燥が心配なら、株から少し離れた通路に敷きわらを敷くと効果的です。ただし子房柄が刺さる株のすぐまわりには敷かず、土をむき出しに保つのがポイント。ここは間違えやすいので気をつけてください。プランターは乾きやすいので、表面が乾いたら鉢底から水が出るまでたっぷりを基本にします。

敷きわらは乾燥対策に加えて、泥はねによる病気予防にもなります。通路に一袋敷いておくと、真夏の水やり回数がぐっと減って管理がラクになりますよ。
次に、葉を守る話です。落花生で一番出やすいのが「褐斑病(かっぱんびょう)」「黒渋病(くろしぶびょう)」という葉の病気。茶色や黒っぽい斑点が広がり、下葉から黄色くなって落ちていきます。葉っぱは莢を太らせるエネルギーを作る工場。莢が一番膨らむ8月に葉を落とすと、そのぶん実が入りません。対策は風通し。混み合った枝を整理し、落ちた病葉は必ず畑の外へ持ち出します(放置すると胞子が跳ね返って再感染します)。
害虫は早期発見が命。葉裏に群れるハスモンヨトウは小さいうちに葉ごと取れば一網打尽。土の中で莢をかじるコガネムシの幼虫には、成虫に卵を産ませないよう株元に防虫ネットが有効です。週2〜3回は葉裏をのぞく習慣を。

そして収穫が近づくと現れる最後の敵がカラス。土の中で熟した頃合いを正確に知っていて、掘り返して食べてしまいます。畑のまわりに透明な釣り糸(テグス)を張るだけでもかなり効果があります(カラスは羽に糸が触れるのを極端に嫌います)。株全体をネットで覆えば確実。「まだ早い」と思っているうちにやられるので、8月中には準備しておきましょう。
[st-kaiwa2 r]収穫のタイミングは、どう見分けたらいいですか?[/st-kaiwa2 r]
[st-kaiwa1]花が咲き始めてから約80〜90日、地域や品種にもよりますが9月下旬〜10月中旬が目安です。下のほうの葉が黄色くなってきたら試し掘りのサイン。1株掘ってみて、莢の網目がくっきり浮き出て、殻の内側が黒っぽく色づいていれば収穫適期。まだ白っぽかったら、もう少し待ちましょう。[/st-kaiwa1]
[st-mybox title="作業③まとめ" fontawesome="fa-leaf" color="#27ae60" bordercolor="#27ae60" bgcolor="#f5fff8" borderwidth="2" borderradius="5" titleweight="bold"]
- 7〜8月は土を乾かさない(水やりは石灰を効かせる作業でもある)
- 敷きわらは株のすぐまわりを避け、通路に。葉の病気は風通しで防ぐ
- カラス対策は8月中に。収穫は網目くっきり+殻の内側が黒っぽくが合図
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まとめ

それでは、今日のおさらいです。落花生の花が咲いたらやるべき3つの作業はこちらでした。
[st-step step_no="1"]マルチ外し・除草・中耕・土寄せ[/st-step] 開花10日以内に、子房柄が潜れるやわらかい土のエリアを作ります。叩いて固めないこと。3つの中で最優先です。
[st-step step_no="2"]カルシウムを効かせ、窒素は控える[/st-step] 莢は土のカルシウムを直接吸って膨らみます。石灰をひと握り、窒素肥料は控えてつるボケを防ぎます。
[st-step step_no="3"]水を切らさず、葉と莢を守り抜く[/st-step] 7〜8月に土を乾かさず、病気・害虫・カラスから株を守ります。葉を守ることが、そのまま実を守ることです。
どれも特別な道具はいりません。クワと、石灰ひと袋と、ちょっとの手間だけ。それだけで、秋に掘り上げたときの莢の数と、殻を割ったときの中身の詰まり方が、はっきり変わります。掘りたての落花生を塩ゆでして食べる味は本当に格別で、家庭菜園で育てた人だけが味わえるごちそうです。そのために、今日の3つをぜひやってみてくださいね。
[st-mybox title="今回の作業に使うもの" fontawesome="fa-shopping-cart" color="#f79256" bordercolor="#f79256" bgcolor="#fff8f5" borderwidth="2" borderradius="5" titleweight="bold"] 記事の中でご紹介した資材です。お手元にないものがあれば、こちらから確認できます。 [/st-mybox]
