[st-mybox title="この記事でわかること" fontawesome="fa-check-circle" color="#f79256" bordercolor="#f79256" bgcolor="#fff8f5" borderwidth="2" borderradius="5" titleweight="bold"]
- ピーマンが8月に止まる3つの本当の理由
- 株の3分の1〜半分まで切る更新剪定のやり方
- 切ったその日にやる追肥と根の更新
- 秋まで走り続けるための早採りと葉の管理
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今日はピーマンのお話です。
いきなり結論からお伝えします。ピーマンは、今、この8月に「切る」ことで、秋の11月まで収穫が続きます。逆に、何もせずにこのまま放っておくと、9月には実が付かなくなって、株が枯れ込んで終わってしまいます。同じ苗、同じ場所、同じ品種でも、この夏のひと手間があるかないかで、収穫量は2倍、3倍と変わってきます。
[st-kaiwa2 r]うちのピーマン、6月7月はあんなに採れたのに、最近パタッと止まっちゃったんです…[/st-kaiwa2 r]
[st-kaiwa1]それ、株が枯れたわけでも、寿命が来たわけでもありません。ピーマンが夏バテしているだけなんです。人間と同じで、夏の暑さで疲れきってしまっている状態ですね。だから、休ませて体力を回復させてあげれば、必ずもう一度復活しますよ。[/st-kaiwa1]
今日はその復活のさせ方を、3つのポイントに分けて、初めての方でも迷わずできるように順番にお話ししていきます。難しい道具も特別な資材もいりません。ハサミと肥料があれば、今日からできます。
なぜ夏にピーマンは止まるのか

3つのポイントに入る前に、まず「なぜ止まるのか」という理由の部分を少しだけお話しさせてください。ここが分かっていると、このあとの作業の意味がすっと腑に落ちますし、来年以降も応用が効くようになります。
理由は大きく3つあります。
1つ目は、気温です。ピーマンは暑さに強い野菜だと思われがちですが、花粉が正常に働く温度には限界があります。だいたい昼間の気温が30度を超えて、さらに夜も25度を下回らないような日が続くと、花粉の働きが弱くなって、うまく受粉できなくなります。受粉できない花は、実にならずにポロポロと落ちてしまいます。「花は咲くのに実が付かない」というご相談を毎年たくさんいただきますが、その多くはこの高温が原因です。株が悪いわけではありません。
2つ目は、株の疲れです。ピーマンは、6月から7月にかけて信じられないくらいの数の実を付けます。実を1つ育てるというのは、株にとってはかなりの重労働です。人間でいえば、休みなしでフルマラソンを走り続けているようなものです。実に栄養を取られ続けた株は、新しい枝を伸ばす力も、新しい花を咲かせる力も、だんだん残らなくなっていきます。
3つ目は、根の傷みです。真夏の畑やプランターの土は、日中40度近くまで上がります。根っこというのは意外と暑さに弱くて、地温が高すぎると、水も肥料も吸えなくなってしまいます。上の葉っぱが元気そうに見えても、地面の下では根がぐったりしている、ということが夏には普通に起こります。
つまり、暑さで受粉できず、実の付けすぎで疲れきって、根も弱っている。これが8月のピーマンの正体です。
そして、ここが大事なところなんですが、この3つは全部「一時的なもの」なんです。9月に入って気温が下がってくれば、受粉の問題は自然に解決します。株の疲れは、実を減らして肥料をあげれば回復します。根の傷みも、地温が下がれば新しい根が出てきます。
だからこそ、8月にやるべきことは、株を諦めて抜いてしまうことではなくて、涼しくなる9月に向けて「準備を整えてあげること」なんです。
ポイント① 思い切って切り戻す、更新剪定

それでは1つ目のポイント、切り戻し剪定です。結論から言います。株全体の高さの、3分の1から半分くらいまで、思い切って切り落としてください。
[st-kaiwa2 r]えっ、そんなに切って大丈夫なんですか?[/st-kaiwa2 r]
[st-kaiwa1]私も最初にやったときは手が震えました。せっかくここまで育てた枝を自分でバッサリ切るわけですから当然です。でも大丈夫です。むしろ、中途半端に切るほうが失敗します。[/st-kaiwa1]
なぜかというと、ピーマンは切られると「新しい芽を出さなきゃ」というスイッチが入る植物だからです。切った刺激で、残した枝の付け根あたりから新しい芽が動き出します。この新芽が伸びて、そこに花が咲いて、実が付く。これが秋のピーマンになります。切らずに古い枝のまま9月を迎えても、疲れた枝に元気な花は咲きません。だから、新しい枝に更新してあげる。だから「更新剪定」と呼ばれるんです。

切る時期は8月上旬〜お盆まで
8月の上旬から、遅くともお盆の頃までに済ませてください。理由は、切ってから新しい芽が伸びて、花が咲いて、実が大きくなるまでに、だいたい1か月から1か月半かかるからです。8月上旬に切れば、9月中旬から収穫が始まって、11月まで続きます。これが8月末や9月に入ってからだと、実が大きくなる前に寒くなってしまって間に合いません。
切る日は「よく晴れた日の午前中」
曇りや雨の日に切ると、切り口が濡れたままになって、そこから病原菌が入りやすくなります。晴れた日の午前中なら、切り口が昼までにさっと乾いてくれます。
切る場所がいちばん大事
ピーマンは普通、主枝と呼ばれる太い枝が3本に分かれて育っています。一番花が咲いた場所から、二股、三股に分かれているはずです。この骨格になる3本は、根元から切らないでください。残します。切るのは、そこから先に伸びた細かい枝の部分です。
具体的には、それぞれの枝について、付け根から数えて2つか3つの節を残して、その先をハサミで切ります。節というのは、葉っぱが付いている、あるいは付いていた場所のことです。ここに芽のもとが隠れているので、必ず節を残して切ってください。節を残さずに切ってしまうと、新しい芽が出てくる場所がなくなってしまいます。
葉っぱは全部落とす必要はありません。むしろ、それぞれの枝に葉っぱを数枚は残しておいてください。葉っぱは株にとってのエネルギー工場です。全部なくしてしまうと、新しい芽を出すための力が作れません。全体の葉の量を、だいたい半分から3分の1くらいに減らすイメージです。
同時に、この機会に整理しておきたい枝もあります。株の内側に向かって伸びている枝、他の枝と交差してこすれている枝、それから黄色くなった葉や、病気で斑点が出ている葉。これらは迷わず取ってください。風通しがよくなって、病気も虫も減ります。
ハサミの消毒を忘れずに
最後にもう一つ、地味ですが大切なことです。ハサミは必ず消毒してから使ってください。
ピーマンやトマトの仲間には、モザイク病という、ウイルスが原因の病気があります。このウイルスは、切り口に付いた汁を介して、ハサミから次の株へ移っていきます。一度かかると治す薬はありません。消毒用のアルコールをしみこませた布でハサミの刃を拭くとか、ライターの火で刃をさっとあぶるとか、その程度でいいので必ずやってください。株を移るたびに拭く、これが理想です。ほんの数秒の手間で、全滅を防げます。
[st-mybox title="ポイント①まとめ" fontawesome="fa-leaf" color="#27ae60" bordercolor="#27ae60" bgcolor="#f5fff8" borderwidth="2" borderradius="5" titleweight="bold"]
- 株全体の3分の1〜半分まで、思い切って切る
- 骨格の主枝3本は残す。枝は節を2〜3個残して切る
- 8月上旬〜お盆までに、晴れた日の午前中に
- ハサミは必ず消毒してから使う
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ポイント② 切ったあとの追肥と根の手入れ

続いて2つ目のポイントです。切り戻しをしたら、必ずセットでやっていただきたいのが追肥と根まわりの手入れです。結論から言います。切り戻しをした「その日のうちに」、肥料をあげてください。
理由は単純で、新しい芽を出すのにはエネルギーが要るからです。切り戻しは、株にとっては大手術のようなものです。手術のあとに何も食べさせなかったら、体力は戻りません。ここで肥料をあげるかどうかで、新芽の伸び方がまったく変わります。切ったら、食べさせる。セットで覚えてください。

畑の場合とプランターの場合
畑で育てている場合は、株元から15センチから20センチくらい離したところに、化成肥料をひと握り、だいたい30グラムくらいを丸くまいてください。株元にべったりかけるのはやめてください。肥料が濃すぎると、かえって根を傷めます。少し離すのがコツです。まいたら、上から軽く土をかぶせて、まわりの土と混ぜるように浅く耕してあげると、効きがよくなります。
プランターの場合は、量を控えめにします。ひとつまみから、ふたつまみ程度で十分です。プランターは土の量が少ないので、畑と同じ感覚であげると濃くなりすぎます。心配な方は、液体肥料を規定の倍率に薄めて、水やり代わりに与えるほうが安全です。液肥なら効き始めも早いので、切り戻し直後にはむしろ向いています。
余裕があれば「根の更新」も
株元から30センチほど離れたところに、スコップを垂直に、ざくっと差し込みます。深さは20センチくらい。これを株の両側、あるいは四方に入れます。これは「断根」といって、わざと古い根を切る作業です。
なぜそんなことをするのかというと、根も枝と同じで、切られると新しい根を出そうとするからです。夏の間に傷んで働きが鈍くなった古い根の代わりに、フレッシュな根が出てきます。この新しい根が、秋の実を支えてくれます。切ったところに追肥をしておくと、新しい根がそこに向かって伸びてくれるので、なお効果的です。
ただし、やりすぎは禁物です。株の四方すべてを深く切ってしまうと、株が水を吸えなくなってしおれてしまうことがあります。初めての方は、両側2か所くらいから始めてください。それで十分効果があります。
水やりと株元の保護
切り戻しをしたあとの株は、葉が減っている分、蒸散が減って、水を吸う量も一時的に落ちます。ここで「弱ってるから」と水をやりすぎると、根が窒息して根腐れを起こします。土の表面が乾いてから、たっぷりあげる。この基本を守ってください。
水をやる時間は、朝の早い時間か、夕方の涼しくなってからにしてください。日中の暑い時間に水をやると、水が土の中でお湯のようになって根を傷めます。
あわせて、株元に敷きわらや刈った草、あるいは黒いマルチでもいいので、何かを敷いて地面を覆ってあげてください。これだけで地温が数度下がりますし、土の水分も保たれます。夏の根を守るという意味では、これが一番手軽で効果の高い作業かもしれません。
[st-mybox title="ポイント②まとめ" fontawesome="fa-leaf" color="#27ae60" bordercolor="#27ae60" bgcolor="#f5fff8" borderwidth="2" borderradius="5" titleweight="bold"]
- 切ったその日に追肥。株元から15〜20cm離して化成肥料ひと握り
- プランターはひとつまみ〜ふたつまみ、または液肥で
- 余裕があればスコップで断根して根を更新(初めては両側2か所)
- 水は土が乾いてからたっぷり。株元は敷きわらで守る
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ポイント③ 早採りと葉の管理で、秋まで走り続ける

最後、3つ目のポイントです。ここは切り戻しのあと、9月から11月にかけてずっと続けていただく管理のお話です。結論から言います。実は、大きくなる前に、小さいうちに採ってください。
[st-kaiwa2 r]せっかく実が付いたのに、小さいうちに採っちゃうんですか? もったいない気が…[/st-kaiwa2 r]
[st-kaiwa1]その気持ちはよく分かります。でもその「もったいない」が、株を止めてしまうんです。1つの実を大きく育てるあいだに、本来なら咲いたはずの花が、いくつも失われているんですよ。[/st-kaiwa1]

理由は、実が大きくなるときに株の栄養をごっそり使うからです。しかも、実の中で種が育ち始めると、株は「もう子孫を残せたな」と判断して、新しい花を咲かせる力を落としてしまいます。
ですから、8月から9月にかけては、いつもより一回り小さいうちに、思い切って採ってください。目安としては長さ5センチから6センチくらい。市販のピーマンより小ぶりだな、というくらいで十分です。小さくても味は変わりません。むしろ皮がやわらかくて、おいしいです。
そして、この「早採り」を続けていると、株はどんどん次の花を咲かせます。採れば採るほど、次が来る。これがピーマンの性質です。株を疲れさせないための一番簡単な方法が、早採りなんです。
もし今、株に大きな実や、色づき始めた実が残っているなら、切り戻しのタイミングで全部採ってしまってください。赤くなりかけた実も、そのまま置いておくと株の力を吸い続けます。未練を捨てて、リセットしましょう。
葉は取りすぎない
切り戻しのあと、新しい枝が伸びてくると、また葉が茂ってきます。9月に入ったら、株の内側で混み合っている葉、下のほうで黄色くなった葉を、ときどき取り除いてください。風通しがよくなると、病気が減りますし、日光が実まで届いて色づきもよくなります。
ただし、ここでも取りすぎには注意です。葉を取りすぎると、実に直射日光が当たって日焼けを起こします。実の表面が白っぽくカサカサになって、そこから傷んでいく症状です。実の上に葉が数枚かぶさっている、くらいの状態がちょうどいいバランスだと思ってください。
追肥は2週間に1回続ける
秋のピーマンは長く実を付け続けるので、肥料切れが起きやすいんです。葉の色が薄くなってきたり、実が小さくなってきたら、肥料が足りていないサインです。
秋の害虫と台風に備える
一つはカメムシです。実の汁を吸われると、その部分がへこんだり、変色したりします。見つけたら手で取るのが確実です。もう一つはタバコガの幼虫です。実に小さな穴が開いていたら、この虫が中に入っています。穴が開いた実は残念ですが、中に虫がいるので株から外して処分してください。放っておくと次の実へ移ります。
それから支柱です。切り戻しのあと、新しい枝が伸びると、枝は柔らかくて折れやすい状態です。秋には台風もやってきます。主枝をしっかり支柱に結び直しておくことを忘れないでください。せっかく復活させた株が、風で根元から倒れてしまってはあまりにもったいないです。
[st-mybox title="ポイント③まとめ" fontawesome="fa-leaf" color="#27ae60" bordercolor="#27ae60" bgcolor="#f5fff8" borderwidth="2" borderradius="5" titleweight="bold"]
- 実は5〜6cmの小さいうちに採る。採れば採るほど次が来る
- 混み合った葉は減らすが、取りすぎると実が日焼けする
- 追肥は2週間に1回続ける
- カメムシ・タバコガと台風に備えて支柱も結び直す
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よくある失敗と、その答え
毎年ご質問をいただく「よくある失敗」を3つだけ、まとめてお答えしておきます。
[st-step step_no="1"]切り戻したのに、新芽が出てきません[/st-step]
これは、切りすぎか、節を残さなかった可能性が高いです。枝の付け根の節をすべて切り落としてしまうと、芽が出る場所がなくなります。また、葉を1枚も残さず丸坊主にしてしまった場合も、光合成ができず芽が動きません。もし今その状態なら、追肥と水やりを続けて、2週間から3週間じっと待ってみてください。根が生きていれば、遅れて動き出すことがあります。
[st-step step_no="2"]切り戻したら、株が弱って枯れてきました[/st-step]
これは、株がもともと病気にかかっていた場合に起こりやすいです。青枯病といって、日中だけしおれて朝には戻る、それを繰り返しながら枯れていく病気があります。これは切り戻しでは回復しません。もし茎を切ったときに、切り口から白く濁った汁が出たなら、その株は残念ですが処分して、土に病気を残さないようにしてください。
[st-step step_no="3"]切り戻しは絶対にやらないとダメですか[/st-step]
いいえ、必ずやらなければいけないものではありません。株がまだ元気で、8月でも次々に花が咲いて実が付いているなら、無理に切る必要はありません。その場合は、ポイント②の追肥と、ポイント③の早採りだけでも十分効果があります。判断の目安は、新しい花が咲かなくなっているかどうか。花が止まっていたら、切り戻しのサインだと思ってください。
まとめ

それでは、今日のまとめです。ピーマンは、8月に切ることで秋まで採れます。
[st-step step_no="1"]切り戻し剪定[/st-step] 株全体の3分の1から半分まで、節を2つ3つ残して、晴れた日の午前中に、消毒したハサミで思い切って切る。骨格になる主枝3本は残す。葉も全部は落とさない。
[st-step step_no="2"]切ったあとの追肥[/st-step] 切ったその日に、株元から15センチから20センチ離して、化成肥料をひと握り。プランターならひとつまみか、液肥で。余裕があれば根も更新して、株元は敷きわらで守る。
[st-step step_no="3"]早採りと葉の管理[/st-step] 実は5センチから6センチの小さいうちに採る。混み合った葉は減らすけれど、取りすぎて日焼けさせない。追肥は2週間に1回続ける。台風に備えて支柱も結び直す。
作業自体は、1株あたり5分もかかりません。それでも、9月からの収穫がまるで変わります。
ピーマンは本来、寒くなるまで実を付け続ける、とてもタフな野菜です。今止まっているのは、力尽きたからではなくて、ただ夏に疲れているだけです。手を貸してあげれば、必ず応えてくれます。
秋に採れるピーマンは、夏のものより皮が厚くて、甘みがしっかり出ます。私は毎年、この秋ピーマンが一番おいしいと思っています。ぜひ、その味を味わってみてください。
